はじめに
精巣腫瘍は雄犬における腫瘍のうち4〜7%を占め、比較的よく見られる腫瘍ですが、近年では去勢手術を行うことが一般的となっているので、発見される機会は減ってきています。
精巣腫瘍は大部分がセルトリ細胞腫やセミノーマ、ライディッヒ細胞腫など精巣由来の腫瘍ですが、稀にリンパ腫や肉腫などの発生も報告されています。セルトリ細胞腫やセミノーマは停留精巣(精巣が皮下または腹腔内に存在)の場合に発生リスクが高くなる事が報告されています。
多くの場合には無症状で発見されます。しかし、セルトリ細胞腫の場合には高エストロジェン血症による雌性化や骨髄抑制が起こってから発見される場合もあります。骨髄抑制が起こっている場合には、重度の貧血や出血傾向、敗血症などを呈しているため、輸血や抗生剤の投与などを積極的な治療を行っても死亡する場合も多いです。
精巣腫瘍は全般的に転移率は低いですが、稀にリンパ節や肺、肝臓などに転移を認める事があります。
診断
- 身体検査:精巣腫瘍の触知、直腸検査による腹腔内リンパ節の評価を行います。

- 血液検査:雌性化や骨髄抑制を疑う場合にはエストロジェン測定を行います。
- 腹部超音波検査:リンパ節(特に腰下リンパ節群)や肝臓の評価を行います。
- 胸部レントゲン検査:肺転移の評価を行います。
- CT検査:精巣腫瘍かどうかの評価や転移の評価を行います。
治療
基本的には精巣腫瘍となる前に予防的に精巣摘出を行うことが有効です。
もし、停留精巣で精巣が見つからない場合にはCT検査や腹腔鏡を用いて精巣の探索を行います。また、腹腔内精巣の場合には腹腔鏡下手術により低侵襲での精巣摘出が可能です。
精巣腫瘍の場合には開腹で精巣摘出を行います。転移病巣に対する治療の有効性は不明ですが、転移病巣による局所の障害(腰下リンパ節群の腫大による排便困難など)がある場合には、外科摘出や放射線治療、化学療法などを行う場合もあります。
また、高エストロジェン血症に伴う骨髄抑制が起こっている場合には、精巣摘出術を行う前や、精巣摘出後の骨髄抑制が改善するまでに時間がかかるため、頻回の輸血や炭酸リチウムなどの骨髄刺激薬を用いながら治療する必要があります。

腹腔鏡下精巣摘出術:
左 腹腔精巣
右 術部の写真(黄色矢印:腹腔鏡の傷、青矢印:正常の去勢手術の傷)

左 精巣腫瘍(皮下陰睾)、右 精巣

腹腔内陰睾
予後
臨床症状や転移がない場合には、精巣摘出術により完治が期待されます。
稀に転移が起こる場合(数年後にも)があるため、術後には定期的な転移の評価が必要となります。進行が緩徐な腫瘍であるため、転移がある場合でも長期間の生存が可能な場合も多いです。
高エストロジェン血症を伴っている場合には、骨髄抑制による貧血や出血傾向、敗血症などに状態が悪い場合も多く、頻回の輸血など積極的な治療を行っても予後不良となる場合が多いです。
ご紹介の流れ
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なお、患者様の来院予約は別途必要です。当日・翌日のご予約をご希望の場合は診療時間内に下記番号までお電話をお願いいたします。2日後以降の日程でも差し支えない場合は、当院初診のご家族様にはこちらの新患様予約申込(リンクが開きます)からご入力いただくようお伝えください。翌診療日に当院よりお電話し新患様の来院予約を確定いたします。
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