はじめに
皮膚組織球腫は、主に若齢犬に発生する良性の腫瘍性病変です。

特徴は突然現れるドーム状の脱毛性結節で、見た目に驚かれて来院される飼い主様も少なくありません。多くの場合、自然退縮しますが、退縮しない場合や若齢犬以外においても発生が認められるため、治療の必要性を含めて正確な診断と判断が重要です。
診断
皮膚組織球腫の診断には以下の方法が用いられます。
視診・触診
・急速に増大した、単発のドーム状結節
・脱毛、発赤、軽度の潰瘍を伴うことがある
・顔面、耳介、四肢、体幹に好発

細胞診(FNA)
・検査法の第一選択は細胞診です。
・以下のような特徴がよく観察されます

- 中型の円形細胞で、豊富な好塩基性の細胞質を持つ
- 核は中心またはやや偏在し、クロマチンは細かく均一
- 核小体は小型で不明瞭なことが多い
- 多くの細胞で有糸分裂像が観察されるが、異型性には乏しい
- リンパ球の混在が確認できることがあり、免疫応答による退縮傾向を示唆する
病理組織検査
・細胞診で確定が難しい場合や、退縮傾向が認められない場合に推奨される検査です。
・特に高齢犬や、異常な増殖パターンがある場合には以下の鑑別診断を考慮します。
1. 組織球肉腫:大型で異型性の強い組織球由来細胞、壊死や炎症所見を伴うことが多い
2. リンパ腫:円形細胞が多数観察され、核の異型性や分裂像が顕著な場合がある
3. 肥満細胞腫:豊富な細胞質顆粒を持ち、トルイジンブルー染色で同定が可能
4. 形質細胞腫:細胞質は豊富で偏在性の核を持ち、しばしば核の周囲に明瞭な明帯(ホフ領域)がみられる。細胞質内にRussell小体が認められることもある
治療
多くの場合、皮膚組織球腫は自然退縮しますが、以下のように積極的治療(外科的切除)を検討する場合もあります。
経過観察
・自然退縮は通常1〜3か月以内に認められます
・若齢犬で典型的な所見が揃っていれば、経過観察のみとすることが多いです
外科的切除:多くの場合、日帰りでの手術が可能です
・退縮傾向がみられない場合
・自傷や二次感染などの症状が認められる場合
・鑑別が難しい場合や飼い主様が外科的摘出を強く望んでいる場合
予後
皮膚組織球腫は、良性腫瘍で予後は極めて良好です。
自然退縮後に再発することはほとんどありません。
ただし、見た目や発生部位によっては飼い主様の不安が大きいため、適切な説明とフォローアップが必要です。
ご紹介の流れ
犬の皮膚組織球腫の疑いまたは診断された患者様を当院にご紹介の場合は、紹介フォーム(リンクが開きます)にて腫瘍科をご指定ください。紹介フォームにより、診療情報を事前にご提供いただくことで、よりスムーズな医療連携が可能となりますのでご協力をお願いいたします。
なお、患者様の来院予約は別途必要です。当日・翌日のご予約をご希望の場合は診療時間内に下記番号までお電話をお願いいたします。2日後以降の日程でも差し支えない場合は、当院初診のご家族様にはこちらの新患様予約申込(リンクが開きます)からご入力いただくようお伝えください。翌診療日に当院よりお電話し新患様の来院予約を確定いたします。
患者様が当院に来院歴がある場合は、ご家族様から当院へ直接ご連絡いただくようお伝えください。
松原本院 ☎ 072-331-3493
大阪府松原市田井城2-1-7
天満橋医療センター ☎ 06-6354-4140
大阪府大阪市北区天満3-2-16